新型コロナウィルスが世界中の人々の生活をおびやかし、スポーツをすること自体が厳しかった2020年の夏、日本では様々なスポーツにおいてほとんどの大会がキャンセルされました。7月後半から各都道府県の大会が徐々に開催されるようにはなったものの、多くの選手は練習環境が整わず苦労しました。
そんな中、飛込委員会は9月の日本選手権、10月の日本学生選手権を開催するため、感染症対策等、様々な課題に取り組み、大会を開催する準備を進めていきました。
今年の日本選手権は試合のタイムテーブルを大きく変え、普段は12人決勝のところを8人決勝にしたため、選手にとってはさらに緊張感のある試合になったことと思います。
予選会を行うことができなかったため、今年初の試合が日本選手権となった選手も多く、特に予選は失敗演技が多く見られましたが、決勝に残った8名の選手たちは演技の質が高く、難易度も高いものを揃えた選手ばかりで見応えのある試合になりました。
2021年W杯日本代表選手の活躍が目立ちましたが、中でも特筆すべきは、成長著しい中学2年の玉井陸斗選手(JSS宝塚)です。W杯代表であり定評のあった高飛込で2位以下を大きく引き離し、500点超えで圧巻の日本選手権2連覇に加え、今回は3m飛板飛込でも初優勝を果たしました。このことは、大きくメディアでも取り上げられ、世間から高い注目を集めました。今後の勇姿と活躍に更に期待が高まります。
女子では飛板飛込で三上紗也可(日体大/米子DC)が3連覇、高飛込では荒井祭里(JSS宝塚)が4連覇し存在感をアピールしました。
日本選手権の翌週、大阪プールで日本学生選手権が開かれました。この大会は予選競技を行わず、午前中に1試合、選手を入れ替えて午後にもう1試合と、タイムスケジュールを工夫して行われました。
初日は男子飛板飛込決勝が行われ、演技の高さと安定度で伊藤洸輝(日本大3年)が2度目の優勝。2位には地元大阪の大学1年生、井戸畑和馬(同志社)が入り、3位は佐々木康平(日体大)が4年生の意地を見せました。
女子高飛込決勝は日本選手権並みのレベルの高い試合となり、いい演技がたくさん見られました。結果は荒井祭里(武庫川女子大学2年)が2連勝しましたが、好演技を続けた宮本葉月(近畿大2年)がラスト1本まで優勝争いを行いました。3位には日本選手権でも活躍が目立った長澤明生(日体大2年)が今大会でも波に乗って表彰台を決めました。
2日目は女子飛板飛込決勝からスタート。ここでは三上紗也可(日体大1年)が安定した演技を見せ、注目のラスト5154Bで高得点とはいきませんでしたが、他の追随を許しませんでした。2位には宮本葉月が入り、3位はミスを最小限にとどめた藤原蒼(福山平成大3年)が入りました。
ラストの男子高飛込決勝は金戸快(日本大2年)が初優勝を遂げました。1本目のラウンドからランキングトップをマークすると、その後ミスはあったものの一度もトップを譲ることなく優勝を果たしました。2位には本調子をではなかったものの終盤で高得点を連発した西田玲雄(近畿大2年)が入り、今季は怪我に泣いた金子舜汰(早稲田大2年)が意地を見せ3位に入りました。
この大会では4名の大学4年生に対し、大会主催者側の粋な計らいで最後に花束を持って登場し、それぞれの大学最後の年を会場全体で称えました。今回、インカレ初の無観客試合にはなりましたが、心温まる素晴らしい大会となりました。
コロナ禍で大会開催も危ぶまれましたが、大会主催者、大会会場の関係者、そして競技部の方々の熱心な努力によって大会を無事に行うことができました。
本当にありがとうございました。来年また元気な姿で皆さんに会えますように。